
AWS S3互換「Cloudflare R2」の料金と無料枠|導入メリットと移行のポイント
AWS S3互換のオブジェクト・ストレージサービス「Cloudflare R2」の料金体系・無料枠を徹底解説。料金プランの比較や、AWS S3や他サービスから移転する際の注意点も解説します。
Cloudflare R2の料金体系
2024年現在、Cloudflare R2には「スタンダードストレージ」「低頻度アクセスストレージ (ベータ版)」の二つの保存方法があります。
低頻度アクセスストレージはデータアクセスが少ない長期保存用のストレージで価格がやや安くなりますが、データの操作料金が倍以上かかります、取り出し料金も必要です。この辺りは、先行するAWS S3やGoogle Cloud Storageと同じです。
| 課金項目 | スタンダードストレージ | 低頻度アクセスストレージ (ベータ版) |
|---|---|---|
| ストレージ保存料金 | $0.015 / GB・月 | $0.01 / GB・月 |
| Class A 操作 | $4.50 / 100万リクエスト | $9.00 / 100万リクエスト |
| Class B 操作 | $0.36 / 100万リクエスト | $0.90 / 100万リクエスト |
| データ取得(処理) | - | $0.01 / GB |
| イーグレス (インターネットへのデータ転送) | 無料 | 無料 |
Cloudflare R2の最大の特徴は、同社が売りとしている「イーグレス (インターネットへのデータ転送)」が完全無料である点。データ保存領域やデータ操作が少ないのに、データの配信が多い、つまり「イーグレスがクラウドストレージの請求の大半を占める」というケースでは、Cloudflare R2に乗り換えることで大幅なコスト削減が見込めます。
スタンダードストレージの料金プランを他社と比較する
Cloudflare R2を大手オブジェクト・ストレージサービスと比較してみます。
リージョンは東京リージョンでの比較で、AWS S3についてはClass A、Class Bという区分になっていないため、PUTとGETの料金を記載しています。
| 課金項目 | Cloudflare R2 | AWS S3 | Google Cloud Storage |
|---|---|---|---|
| ストレージ保存料金 | $0.015 /GB・月 | $0.025 / GB・月 | $0.023 / GB・月 |
| Class A 操作 | $4.50 / 100万リクエスト $0.0000045 / 1リクエスト | $0.0047 / 1,000 リクエスト $0.0000047 / 1リクエスト | $0.005 / 1,000 リクエスト $0.000005 / 1リクエスト |
| Class B 操作 | $0.36 / 100万リクエスト $0.00000036 / 1リクエスト | $0.0004 / 1,000 リクエスト $0.0000004 / 1リクエスト | $0.0004 / 1,000 リクエスト $0.0000004 / 1リクエスト |
| イーグレス (インターネットへのデータ転送) | 無料 | $0.114/GB | $0.08/GB(アジア to 北アメリカの場合) |
Cloudflare R2は、
- ストレージ料金が40%ほど安い
- 操作課金の1回あたりの単価はほぼ同じ
- イーグレス無料
という点がメリットとわかります。
Cloudflare R2の無料枠
Cloudflare R2には無料枠が設定されています。
| 課金項目 | 無料枠 |
|---|---|
| ストレージ容量 | 10GB |
| Class A 操作 | 100万リクエスト/月 |
| Class B 操作 | 1,000万リクエスト/月 |
| イーグレス (インターネットへのデータ転送) | 無料 |
小規模なサービスであればほぼ無料で運用することが可能です。
Cloudflare R2のデータをCloudflare Workersを経由させて操作・表示する場合は、Workers側でリクエスト単位の課金があります。とはいえ、Workersも10万回/日は無料なので、R2の無料枠内なら、Workersでもも無料に収まるでしょう。
なお、Cloudflare R2は、Cloudflareで管理しているドメインであれば、管理画面上でドメインと連携させて直接R2をインターネット公開することも可能です。その際にロードバランサーなどは不要です。AWS S3のように転送速度が著しく遅いということもありません。
つまり、ドメインがあって低容量・低頻度であれば、独自ドメインのクラウドストレージを「簡単かつ無料」で運用することが可能です。
Cloudflare R2へ移転する際のポイント
オブジェクトストレージ料金を「完全無料」にできるケースも
Cloudflare R2は無料枠が付属するため、使い方次第ではオブジェクトストレージ料金を完全無料にすることも可能です。
完全無料にできるケースは「無料枠に収まる」場合ですが、仮にAWS S3でCloudflare R2の無料枠と同等量を使用すると下記の通りになります。
| 項目 | 利用量 | 単価(USD) | 課金額(USD) |
|---|---|---|---|
| ストレージ容量 | 10GB | $0.023/GB(月) | $0.23 |
| Class A操作 | 100万リクエスト | $0.005/1000リクエスト | $5.00 |
| Class B操作 | 1000万リクエスト | $0.0004/1000リクエスト | $4.00 |
※ ストレージ料金はS3標準ストレージクラスの最初の50TB単価($0.023/GBで計算)。データ転送(イーグレス)は含めない
Cloudflare R2の無料枠は、AWS S3で換算すると概ね9ドル程度の枠ということになります。そのため、クラウドのライトユーザーほど恩恵を受けやすいでしょう。
ファイル操作がほとんどなくて、イーグレス(転送)に多くのコストがかかっている場合は、AWS S3からの移転で大幅にコストダウンし、かつ無料にできるケースも出てくるでしょう。
転送料金が大半を占めていない場合は、大幅なコストダウンにはならないケースも
オブジェクト・ストレージを運用していると様々なコストが発生していますが、Cloudflare R2が強いのはイーグレスとWorkersです。
特にイーグレスは無料になるので、ここが大半を占めている場合は大幅なコストダウンになります。しかし、イーグレスがほとんど発生しない、Coldline StorageやArchive Storageがメインの使い方では、コストアップになる可能性もある点に注意しましょう。
また、AWS S3などはLambdaなどAWSの他のサービス群と連携させて使うことが多いですが、Cloudflare側に同等のサービスがない場合、プログラムやシステム全体の組み替えが必要になるケースもあります。
クラウドや、オブジェクトストレージのコストダウンを検討している方は、下記の記事もどうぞ。

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